秋冬の静電気
セーターを脱ぐ時の「パチパチ」、ドアノブに触れた瞬間の「バチッ」。冬になると誰もが経験する静電気は、実は腕時計にとっても大敵です。さらに、寒さでつい手を入れてしまうポケットの中にも、思わぬ落とし穴が。今回は、冬の乾燥した季節に気をつけたい、時計との付き合い方をご紹介します。
静電気は、乾燥した空気と摩擦によって発生します。冬場は湿度が低く、セーターやコートなどの衣類との摩擦も多いため、時計が帯電しやすい環境に。強い静電気を受けると、時計内部の繊細な部品――特にヒゲゼンマイなどが影響を受け、時刻が遅れたり進んだりすることがあります。
また、意外と見落としがちなのが「磁気」。スマートフォンやワイヤレスイヤホン、バッグの磁気留め具、そしてコートのポケットに入れたままの小物類――これらが時計に近づくと、精度に狂いが生じる原因になります。
ポケットに手を入れる時は要注意
寒い日、つい手を突っ込んでしまうコートやジャケットのポケット。そこにスマートフォンや磁気カード、ワイヤレスイヤホンのケースが入っていると、腕時計との距離がぐっと近くなります。
特に注意したいのは、磁気を帯びた小物との接触。時計が磁気を帯びてしまうと、内部のヒゲゼンマイが磁化し、急に時刻がずれたり、止まったりすることも。ポケットの中身を確認する習慣をつけるだけで、大切な時計を守れます。
静電気・磁気から時計を守るために
保湿を心がける
室内では加湿器を使い、湿度を40〜60%に保つことが理想的。手肌の保湿クリームも、静電気予防に役立ちます。乾燥は静電気の最大の原因なので、まず環境を整えましょう。
天然素材を選ぶ
化学繊維は静電気を発生させやすい素材。冬場は綿やウールなど天然素材の衣類を選ぶと、摩擦による帯電を抑えられます。とくに時計が触れる袖口は、素材選びを意識したいところ。
ポケットの中身をチェック
コートやジャケットのポケットに、スマートフォン、磁気カード、ワイヤレスイヤホンなどを入れていませんか?手を入れた時に時計と近づきすぎないよう、磁気を持つものは別のポケットへ。意識するだけで予防できます。
静電気除去グッズを活用
キーホルダー型の静電気除去グッズや、静電気防止スプレーも効果的。外出先でドアノブに触れる前に放電しておくと、時計への影響も軽減できます。
時計を置く場所にも配慮を
就寝時や帰宅後、時計を外して置く場所も重要です。スマートフォンやパソコン、スピーカーなど磁気を発する機器の近くは避けて。専用の時計ケースやトレイを使うと安心です。
もし精度に異変を感じたら
急に時刻がずれるようになった、動きがおかしい――そんな時は、静電気や磁気の影響かもしれません。自己判断せず、専門店で脱磁処理や点検を受けることをおすすめします。アンティークウォッチなら、なおさら早めの対処が肝心です。
冬の乾燥した空気と、何気ない日常の動作。見えない静電気と磁気は、時計にとって意外なリスクです。ちょっとした工夫で、大切な時計を長く正確に保つことができます。寒い季節も、時計と上手に付き合っていきましょう。